その中でも光は、光合成をする上で最も重要。
水草によっては光量が弱いと育たないものもあります。
しかし、水槽の光源である照明といっても蛍光灯やメタハラ、最近ではLEDライトも出てきました。
初めての場合、何がどう違うのかわからないですよね。
そこで、光の波長から照明の種類まで詳しく紹介したいと思います。
追記:
2018年9月3日現在、蛍光灯よりもLEDが主流になっていますね。
LED照明でも十分水草を育てることができるレベルまで到達しています。
価格に関しても、ずいぶんと安くなりました。
正直、蛍光灯の時代は、終わったと思います。
光の波長とは
光には赤や緑、青など様々な波長を持っており、これら目に見える波長のことを可視光線と言います。
ちなみにこの「光の波長」とは電磁波の波の1周期(周波数)の長さのことであり、単位は長さの単位である「nm(ナノメートル)」や「μm(マイクロメートル)」で表します。
余談ですが太陽光は様々な波長を持つ光なので、光が空気中に存在する小さな水滴によって屈折・反射をすることで、光が分離し七色に見えることがあります。
これが雨上がりなど空気中に水滴が多い時に発生する「虹」の正体です。
このように光の波長には様々な色が存在します。
ここでは単純に光の波長のことを色を表現する波だと思ってください。
そして、光合成に必要な波長は概ね決まっており、青と赤の波長が必要だと言われています。
波長の違いによって水草にどのような影響があるのか簡単にまとめてみました。
紫 | 0.4μm以下 | 所謂紫外線というものです。 人間では、癌やシミの原因になる波長で一般的に強い紫外線を浴び続けるのは有害と言われています。 これは水草でも同じことで、強すぎると枯らしてしまうほど、特に害のある波長だと言われています。 |
青 | 0.4μm〜0.5μm | 光合成をするために必要な波長です。 しかし、苔にも有効な波長なので、強すぎると苔の大量発生につながると言われています。 |
緑 | 0.5μm〜0.6μm | 光合成に利用することができますが、黒髭苔などやっかいな苔にも有効な波長だと言われているので、注意が必要です。また、緑の波長には水槽を美しく演出する効果があります。 |
橙 | 0.6μm〜0.7μm | 光合成に使われる波長だと言われています。苔にもあまり利用されない波長なので、アクアリウムにおいて、特に重要な波長です。 |
赤 | 0.7μm以上 | 所謂赤外線と言われるものです。 最も光合成に有用な波長と言われていますが、強すぎると熱を発生させます。 |
このことから、水草を育てる上で最も重要な波長は、橙で、次に青ということがわかります。
ただ、緑の波長も全く使われないというわけではありません。
この画像は、光合成の効率についてまとめた論文を参考に作った図です。
赤の波長が最も効率が良く、次いで青・橙の波長が効率が良いです。
緑の波長も全く使われないわけではなくて、少し効率が落ちる程度ですね。
そして、いちばん重要なのは赤や青の波長は、効率がいいのですが、光が当たらない影になるような葉は光合成できません。
当たり前ですね。
ですが、緑の波長は光が当たらない葉にも光を届ける事ができ、緑の波長は水草の成長に必要な波長だと言われています。
なぜ「影になる葉にも光を届けられるのか」は、素粒子物理学や光合成のメカニズムについての話になってくるので、ここでは触れません!
話が逸れてしまいますが、光合成って量子コンピュターと同じことしてるんですよ。
全く関係ない話なので、どういうことか気になる方は調べてみてください。
また、光は水に含まれる不純物でどんどん減衰していきます。
「背丈の高い水草はよく育つのに、低い水草は育たない」「前景草が立ち上がる」などの問題がよく起きます。
水槽の照明を直で見るとものすごく明るいのがわかりますが、水槽の底では光の50%も届いていません。
なので、見た目で明るいからというだけで判断しないようにしましょう。
あと、波長はあまり関係ないという意見も見られますが、結構重要な要素だと私は思っています。
確かに植物の成長においては、青も赤も緑の波長も使われるので、そこまで重視しなくてもいいかもしれません。(太陽光を当てれば育つので。)
ただ水草の場合、波長によって「コケ」の問題が出てきます。
絶対に覚えておかなくてはいけないというわけではないですが、照明選びに役に立つと思うので、覚えておいて損はないことだと思います。
照明のタイプについて
蛍光灯(インバータ式)・メタハラ・LEDの3つの種類と特徴、メリット・デメリットについてできる限り詳しく紹介します。
追記:
蛍光灯の時代は終わりに近づいています‥!今更、蛍光灯を購入するメリットは薄そう。
今はLEDの時代ですよ!
蛍光灯(インバータ式)
水槽用の照明といったらコレ!というほどポピュラーなタイプです。
蛍光灯でもグロースターター式など色々ありますが、今回は蛍光灯の中でも最も明るく水草水槽におすすめのインバータ式を紹介します。
特徴
今回紹介するタイプの中では最も歴史が古く、昔から蛍光灯が使われていて、現在でも蛍光灯が主流となっています。
このサイトでも蛍光灯を使うことを想定して、必要光量を「2灯」「3灯」と表記しています。
蛍光灯は光が散光する傾向があるので、影が作りにくい代わりに隅々まで光を届けることができ、水槽全体を照らすことが可能です。
また、メタハラほどではないですがモノによってはかなりの高光量を出すことができます。
さらに、メタハラと違い全ての水草を育てることができます。メタハラについては後述します。
さらに、赤の波長を持つ蛍光管に交換することで、赤の波長がより強い「オリジナルのライト」を作ることができるなど、ユーザーによって色々カスタマイズできるのもメリットの一つです。
注意点として、交換球の劣化が原因で、徐々に光量が弱くなっていきます。
本当に少しづつ弱くなるので、劣化に気づきにくく、交換して初めて光量が弱くなっていたことに気づきます。
なので「点かなくなったら交換」というよりは「購入してから◯ヶ月経ったから交換」というように、経過した日数で買い替えを決めた方が良いです。
最近では、光をより効率よく届ける仕組みがある交換球もあります。
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メリット
- 昔からあるので、信頼度は一番高い
- どんな水草でも育てることが可能
- 自由に好きな波長にカスタマイズできる
- 影ができない
デメリット
- メタハラほどではないが、熱を持つ
- 徐々に光量が弱くなってくる
- 影ができない
おすすめの本体
30㎝水槽
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60cm水槽でも十分通用するレベルの光量があり、30センチキューブ水槽でも底層まで光を届けることができます。
なので、60cm水槽に2台使う方もいるほど。
30cm水槽専用にしては、光量がとても強くどんな水草でも育てられると思います。
また、アームを使って設置した場合、電球が水面から離れるため、水温が上昇しにくいというメリットがありますが、水草に届く光も少し弱くなってしまうというデメリットもあります。
電球も付属していますが、何度も購入するのが面倒という方は交換球も一緒に購入することをおすすめします。
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60㎝水槽
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インバーター基盤が日本製で、そこらへんの安物よりも光効率が良いため、とても明るいです。
しかも、蛍光灯を使用する上で避けては通れないのが熱の問題ですが、テクニカインバーター本体は熱を外に放出する工夫がされており、触っても少し暖かい程度で、やけどする心配もありません。
当たり前ですが、蛍光管は熱いので注意してください。
さらに、反射板がついているのですが、高純度のアルミ板を使用しているらしく、水槽全体に効率よく光を届けることができます。
60cm水槽の照明の中でも有名な商品で評価もよく、とても高い性能を持っています。
デメリットとしては、値段が高いところで、1台3万もするところですが、その分性能はかなり高いので、満足できる商品だと思います。
90㎝水槽
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60cm用よりも本体が大きくなって光量が100Wに増えただけで中身は60cm用と大差はありません。
ただしここまで消費電力が高いと、お金に余裕があれば別ですが初期投資はもちろん、交換球代と電気代で金銭的負担の方が大きくなるかもしれません。
維持費が心配という方は、LEDをおすすめします。
メタハラ(メタルハライドランプ)
工事現場や野球場にも利用されている光量がとても強い照明です。
特徴
太陽光に最も波長が近く光量がとても強いため、高光量が要求される水草を調子よく育てることが可能です。
また、泳いでいる魚の影や水草の影・水面の揺らぎによる低床の影がとても美しく、より自然な演出ができます。
ただ、高光量を要求する水草を影ができる部分に植えると光量が不足しがちになり、調子よく育ってくれません。
なので、影を考慮したレイアウト作りが必要です。
例えば、グロッソスティグマの様に、這う水草の場合、メタハラでは光の直進性が強いためどうしても影ができてしまう部分ができ、光量不足で這ってくれない場合があります。
さらに、綺麗に育たない・赤くなるはずの水草が赤くならないなど、水草によっては綺麗に育ってくれないこともあるので注意が必要です。
さらに、蛍光灯以上に熱を持つため、水温の上昇や発火に注意しないといけません。
どちらかというと上級者向けの照明ですね。
メリット
- 波長が太陽とほぼ同じなので、育たない水草はほとんどない
- 光量が強い
- 自然な影ができる
デメリット
- 価格が高い
- 熱を持つ
- 太陽光(緑の波長も持っている)に近いため、蛍光灯よりも苔が発生しやすい
- 水草が縦伸びしてしまうことがある
- 赤くなる水草が赤くならないことがある
おすすめの本体
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アルミのボディを使用することで、サビに強く、前の型からの形状変更とエンボス反射板の採用により配光性能が他の商品よりも高いことが特徴です。
そのお陰で、コンパクトですが90cm水槽でも水槽の隅々まで光を届けることができ、ムラなく水草を育てることができます。
また、吊り下げて使用するので、付属しているワイヤーの設置が必要になります。
LED照明
最近出てきた新しいライトで、出始め当初は、光量も弱く赤の波長があまりでないため、水草向きではないと言われていました。最近は高光量で赤の波長を持った商品も出ており、おそらく今後はLEDが主流になっていくのではないかと勝手に予想しています。
記事冒頭の追記でも書いたように、もはや蛍光灯を購入するメリットはほとんどありません!
LED照明が覇権を握りそうですね。というか、もうなっていますね。笑
特徴
最近水草水槽でも人気になりつつあるLEDですが、赤の波長があまりでないため、水草向きではないと言われています。
実は、LEDの人工の光だけで野菜を作る工場というものがあり、植物を育てるだけの光量は確保できていますが、まだアクアリウム用の商品はあまり普及していないようです。
あったとしても、水草水槽向きではないものがほとんどです。
しかし、ここ最近は水草水槽用のLEDも出始めており、高光量を求められる水草でもLEDで育てられるようになってきました。
また、LEDの性質上、光の直進性が強いので、照明を置いた部分だけ明るいということが起きることがあるので、金銭的に余裕があれば2台使いも検討した方がいいでしょう。
冒頭でも話したように蛍光灯に変わってLEDが主流になっています。
光量はすでに蛍光灯とあまり変わらない商品もあり、価格的にも熱の問題でもLED照明が一番オススメです。
ちなみに、光量はワット数(消費電力)ではなく、ルーメン(明るさの単位)という単位が使われます。
メリット
- 半永久的に使える
- 省エネで電気代が安い
- 熱をあまり出さない
- 個人的にデザインが好き
デメリット
- 高光量の商品もでてきたが、蛍光灯と比べるとまだ弱い
- 水草向きの商品がでてきたが、まだ赤の波長が足りていない
- 直進性が強い(水槽の端が暗くなる)
- まだまだ価格が高い
おすすめの本体
30㎝水槽
AXY L1 300 (アクシー エルワン) ブルー/ホワイト球 30cm水槽用照明 LEDライト
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通販で購入可能な水草が育てられる照明はアクシーL1くらいです。
性能としては光量が要求される水草であるグロッソスティグマが育成可能なレベルになっています。
なので、LEDにしてはかなり性能が高くアクアスカイが購入できないのならば、アクシーL1をおすすめします。
アクアスカイ301
アクアスカイシリーズは通販で購入することができませんが、30cm水槽でしかもLEDで水草を育てられる照明というと、アクアスカイぐらいしか商品がないのが現状です。
しかし、性能と品質はかなり高い製品となっているので、アクアリウムショップが近くにあるならばアクアスカイを買っておけば、まず失敗はしません。
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アクアスカイ301はすばらしい商品ですが、通販で購入できないのが問題でした。
しかし、アクロトライアングルLEDは、通販で購入できて、水草も十分に育てられる照明です。
特に、赤の波長がアクアスカイよりも高く、より太陽光に近い光を持っている点は評価が高いポイントです。
また、波長は考えず光量のみ(ルーメン)で考えてみても、アクアスカイよりも若干光量が強いです。
このことからアクロトライアングルLEDは、水草育成用の照明といっても過言ではありません。
また、1台でも十分すぎる光量をもっているので、よほど光が必要な水草でない限り1台だけで十分です。
問題点を上げるとすれば、「緑の波長が強いこと」「少し黄色っぽい色味になってしまうこと」です。
緑の波長が強いということは、コケが喜ぶ波長が強いということです。
反面、アクアスカイは緑の波長がかなり抑えられていて、コケが出にくい照明です。
この点に関しては、アクアスカイのほうに分があります。
黄色味が強いのは、見た目の問題でもあるので、特に気にしないという方もいれば、絶対に嫌という方もいます。
色に関して、例えるなら少し太陽が傾いて夕方とまではいかないものの、ほんのちょっとだけ哀愁漂った感じの色になります。
60㎝水槽
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使用されているパーツが全て日本で製造されていて、他の製品よりも信頼性が高いです。
しかし、組み立ては、中国でしているため表記は「メイドインチャイナ」になっています。
また、LED照明のもう一つの候補として、アクアスカイというものがありますが、テクニカLEDのほうが新しく発売されており、最新のLED技術が使われています。
そのため、テクニカLEDのほうが明るく、消費電力は48Wと低くなっています。
ちなみに、LEDライトは消費電力で光量を推し量ることができません。
テクニカLEDの明るさは蛍光灯でいうと、3灯〜4灯程度だと思います。
テクニカインバーターと比較してもまったく遜色ない明るさになっています。
また、アクアスカイもとてもいい商品なのですが、ADAのブランドを維持したいということで、通販で買えなくなってしまってアクアスカイと同程度かそれ以上の性能のテクニカLEDを紹介しています。
最近、アクアスカイの後継種として「アクアスカイ・ムーン」が発売されました。
こちらが普通のアクアスカイです。
個人的な感想なのですが、アクアスカイシリーズはデザインがスタイリッシュでLEDはこちらの方が好きです。
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30cm水槽用のアクロトライアングルLEDと同じで60cm用に大きくなています。
なので、光量はこちらの方が多いですが、大きな違いはありません。
90㎝水槽
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60cm用よりも本体が大きくなって消費電力が48Wから98Wに増えただけで中身は60cm用を光量を強くしたものと大差はありません。
もし、90cm水槽の照明を探しているのならば、LEDであるこの商品のほうが電球の交換がなく、消費電力も蛍光灯よりも低いため、テクニカLED90をおすすめします。
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上記、テクニカLEDと同じく、60cm水槽用のアクロトライアングルLEDと同じで90cm用に大きくしただけです。
なので、光量はこちらの方が多いですが、大きな違いはありません。
もし、90cm水槽の照明を探しているのならば、LEDであるこの商品のほうが電球の交換がなく、消費電力も蛍光灯よりも低いため、テクニカLED90かアクロトライアングル900をおすすめします。