水槽を立ち上げるにあたって、特に重要なのがバクテリアの役割です。
バクテリアの知識が不十分だと、「水槽が白く濁る」「魚の調子が悪い」「コケがいっぱい生えてきた・・。」などなど本当に多くなトラブルを招きます。
必ず知っておくようにしましょう!
ちゃんとした部屋を用意してくれよな!
水槽にいるバクテリアの種類
水槽には魚以外にも、空気中に漂っているバクテリアなど小さな生き物がたくさんやってきます。
例えば、カビやコケもその一つ。
そして特に重要な水槽の来訪者は「ニトロモナス」「ニトロスピラ」という濾過(ろか)バクテリア」です。
濾過の要「ニトロモナス」と「ニトロスピラ」
水槽にいるバクテリアの一つに「好気性バクテリア」があります。
好気性とは、酸素をエネルギーにして活動している生物のこと。
つまり、酸素をエネルギーにしているバクテリアのこと。
酸素が足りなくなると死んでしまいます。
その中でも特に重要な役割を持っているのが「ニトロモナス」と「ニトロスピラ」と呼ばれるバクテリアです。
ニトロモナス
GC比は45から53でアンモニアモノオキシゲナーゼを持ちアンモニアを亜硝酸に酸化することができる亜硝酸細菌。極鞭毛を持ち運動する種もある。化学合成独立栄養生物である。水中のアンモニアを分解するため、水槽などに加えて水質を改善するのに用いられたり、汚水処理にも用いられる。
ニトロスピナ
引用:https://phys.org/news/2014-08-hydrogen-powers-important-nitrogen-transforming-bacteria.html
ニトロスピラ門の細菌の属である。この属の最初の種は、1986年にワトソンらによってメイン湾から単離され、Nitrospira marinaとして記載された。2つ目の種は、1995年にモスクワの暖房装置の腐食した鉄パイプから単離され、Nitrospira moscoviensisと名付けられた。これはグラム陰性の亜硝酸塩酸化生物で、0.9-2.2 x 0.2-0.4μmの大きさのらせん状か繊維状である。
引用:Wikipedia-ニトロスピラ属
正直、専門用語ばかりで意味わからないですよね・・。
水槽におけるこの2種類のバクテリアの役割をご紹介していきます。
好気性バクテリアは水槽のろ過サイクルの要(かなめ)
生き物の排泄物や餌などを水槽内に放置していると魚たちに有毒な「アンモニア」が溶け出します。
このアンモニアをエサにしているバクテリアが「ニトロモナス」。
ニトロもナスは、アンモニアを分解し、「亜硝酸」を作ります。
亜硝酸は比較的安全ですが、多すぎると有毒な成分で、濃度が高くなると魚たちに大きな影響を与えます。
そこで登場するバクテリアがニトロスピラです。
ニトロスピラは、亜硝酸をほとんど無害な「硝酸」に分解してくれます。
毒性は亜硝酸よりも低いですが、それでも多すぎると危険です。
水草の栄養になるメリットもあるので、肥料としても使われていますね。
ただ、過剰になりすぎると、コケが大量に繁殖したり、水を酸性に傾けすぎるデメリットがあります。
硝酸以上は水槽内では分解ができないので、人間の手で除去する必要があります。
この硝酸までのサイクルを「硝化サイクル」と言って、「生物濾過」とも言われています。
硝化サイクルを表した図
ちなみに、硝酸から完全に無害な窒素に分解するバクテリアもいます。
しかし、嫌気性バクテリア(後述)のため、水槽内にはあまり住み着きません。
画像のように水槽内では、アンモニアが最終的に硝酸に分解され、硝酸も水換えによって水槽から排出される仕組みになっています。
嫌気性バクテリア
嫌気性バクテリアは、酸素のあるところでは増殖することができません。
増殖できないだけで、消えることもありません。
硝酸を完全に無害な窒素に分解するバクテリアも嫌気性で、水槽内では酸素が少ない底床の深いところに住んでいます。
また、嫌気性バクテリアの中には、人にも魚にも水草にも有害な「硫化水素」を発生させるバクテリアがいます。
なので、基本的に嫌気層は作ってはいけないと言われています。
嫌気層とは、酸素がほとんど届かない「低床の深い部分(層)」のこと。
低床を厚くしたり、通水性が悪い低床を使っているとできてしまう。
ただし、あえて嫌気層を作る「水換えがいらない水槽」というものがあります。
これを「嫌気ろ過水槽」と呼ばれています。
水槽のバクテリアはどうやって増やす?
バクテリアを増やすのって、目に見えないしなんかむずかしそうですよね。要は培養ってことだよね‥?
そもそも、なにもないところになんでバクテリアが発生するの?
バクテリアが重要なのはわかったけど、増やし方がわからないですよね。
ということで、バクテリアの増やし方についてご紹介します!
お前も靴下にバクテリアを飼っているだろう?
バクテリアは放置しているだけで勝手に増える
バクテリアを増やすのはとても簡単で、基本的に放置していれば向こうから勝手にやってきます。
水槽にバクテリアが自然発生するまでの時間は1日もかかりません。
ただ、発生はするけど、バクテリアのエサがないと定着しないため、パイロットフィッシュや水草などエサを用意する必要があります。
立ち上げ初期にアンモニア濃度を測ってみるとすごく高いですよね。
でも1週間くらいするとなぜか少しづつ濃度が下がってきます。
これはバクテリアがアンモニアを分解しているからで、バクテリアが水槽に定着してきた証拠です。
つまり、放置しているだけで、空気中にいるバクテリアが水槽に定着し増殖するんです。
エアレーションでバクテリアを増やす
好気性バクテリアは、酸素をエネルギーにしています。
つまり、私達と同じように呼吸しているんです。
そして、酸素を使ってどんどん増殖します。
水槽内の酸素が多くなればなるほど、バクテリアも増えるわけですね。
なので、立ち上げてから間もない時期は、生き物を入れていなくても、エアレーションしてあげるのが大切ですよ。
だが、夜は光合成から呼吸に変わるから必要だぞ。
水槽のサイズを大きくすればバクテリアも増える
バクテリアは底床の中に住み着きます。
なので、単純に水槽のサイズを大きくすればバクテリアも増やすことができます。
魚を多く入れられるのもバクテリアが増える要因ですね。
バクテリアの餌が増えるので、数も増えていきます。
フィルターの容量を増やしてバクテリアを増やす
フィルターや底床は、いわゆるバクテリアの家です。たくさんのバクテリアが住み着いています。
後で書きますが、長年使ってきたフィルターの匂いを嗅げば、どれだけ住み着いているかわかりますよ。
この「家」を大きくすることで、バクテリアの数も比例して増やすことができます。
バクテリアの元はあまり意味がない?
商品としてバクテリアの元が売られているのを見たことはないでしょうか?
立ち上げ時にバクテリアの素をを使えば、すぐにバクテリアが定着しそうでなんだか良さそうですよね。 ですが、私はおすすめしません!個人的にあまり意味がないと思っています。
というのも、あんな密閉された状態ではバクテリアもほとんど死滅しています。 しかも、水槽との急激な水質変化で、pHショックを起こしています。
水質が急激に変わることで、生き物がショックを起こすこと。 魚の水合わせは、pHショックを防止するため。
バクテリアも生物ですから、急激な水質変化によるショックを起こすんですね。 バクテリアは魚よりも小さいため、この影響はより深刻なものとなっているはず。
バクテリアの元は、バクテリアを定着させるためのエサと考えるべきですね。
逆に、同じ水質(水道水)で立ち上げた水槽から、水やろ材を少し貰う方法は非常に有効です。2つ目の水槽を立ち上げたい場合、元の水槽で使用している水やろ材を少し分けてあげると立ち上がりが早くなりますよ。
水槽のニオイでわかる「バクテリア」の定着度
目には見えないバクテリアですが、色んな計測器を使ってバクテリアの状態を知ることができます。
例えば、アンモニア濃度を測る計測器や亜硝酸濃度を測る計測器。
そして、我々人間にもある「鼻」。
実は、水槽もバクテリアが安定した水槽としていない水槽とではニオイが変わるんです。
- 水槽が安定して、バクテリアが定着してくると土のようなニオイになる。
- 水槽が不安定で、バクテリアが不十分だとドブのようなニオイになる。
- 嫌気性バクテリアが発生していると卵が腐ったようなニオイになる。
過剰にエサを与えていたり、過密気味に飼育されている環境では、ドブのようなニオイになります。
底床の通水性が悪く、嫌気層ができていると、卵が腐ったようなニオイになります。
このように、水槽のニオイによってバクテリアの状態がわかるんです。
あなたの水槽はどんなニオイがしますか?
- 土のような匂い?
- ドブ臭い?
- はたまた卵が腐った匂い?
水換え時に変なニオイがした場合、バクテリアが弱っている可能性があります。
原因を見つけて、適切に対処しましょう!
バクテリアが弱ってるとどうなる?
水槽のろ過能力とバクテリアは、密接な関係にあることをわかっていただけたと思います。
もし、バクテリアが弱っていると、水槽のろ過に大きな影響を及ぼします。
あなたもこうならないように気をつけてくださいね。
水質が悪くなり、魚が病気になる
濾過バクテリアは、水槽のろ過能力と密接な関係にあります。
なので、バクテリアが弱ると水質が急激に悪化し、魚たちも調子を崩してしまいます。
すると、病気になったり、最悪☆になってしまうこともあります。
水質悪化は、お前たちが言う大気汚染と同じだ。
コケが大量に発生する
水質が悪くなると、コケが大量にでてきます。
これは、水に大量の栄養分が含まれているから。
貧栄養状態から富栄養状態に変わることを「富栄養化」という。
水槽を美しく保つには「貧栄養状態」を維持するのが良いと言われている。
富栄養状態の水は、名前の通り栄養分が大量に溶け込んでいます。
そのため、水槽一面にコケが大量に生えてくるんです。
ちなみに、栄養いっぱいなら水草も元気になりそうですが、実は全くの逆です!
水草では処理しきれないほど富栄養が進むと水草にもコケが生えてきてしまいます。
この状態では、水草もうまく光合成ができず、調子を崩してしまいます。
水の白濁
バクテリアが弱っていると、ちょっとした水質変化にも耐えられなくなり、ある時を境に大量に死滅します。すると水が白く濁り、水槽のろ過能力が急激に低下します。
もし、「水が急に白く濁った」って方は注意!
ろ過能力が大きく低下している可能性があります。
- 水草を一気にトリミングした
- 水換えを大量に換えた
- フィルターを掃除した
木(水草)を大量に伐採したらどうなるか・・・。
お前たちにもわかるだろう?
まとめ
バクテリアがどれだけ重要かわかっていただけたかと思います。
アクアリストにとって基本中の基本の知識なので、常にバクテリアの状態を気にしましょう。
水槽のバクテリアが安定してくると、水槽の維持もかなり楽になります。
ちょっとそっとのことでは全く動じない強靭な水槽になっていくんです。
逆に、立ち上げて間もないころは、バクテリアが少なくて不安定な時期です。
アクアリウムで最も注意しないといけないのが立ち上げ初期なんです。
アクアリウム初心者なら、なおさら難しく感じると思うので、まっさきに身につけてほしい知識ですよ!