アヌビアスナナは西アフリカのカメルーンが原産国のサトイモ科の植物です。
実は葉の形を変えることなく水上~水中まで適応します。水陸両用の葉を持っているんですよ。
といっても、完全に乾燥した場所だと枯れてしまいます。テラリウム水槽みたいにやや湿っている状態を維持すれば陸上でもいけますね!
自然界では、水中や水面を漂っているか、石などに活着しています。
水槽でも浮かばせておくだけでも普通に育ちます。笑
それではアヌビアス・ナナの育て方について確認してみましょう!!
「アヌビアス・ナナ・ボンサイ」なんて日本っぽい品種もあるが開発したのはドイツの会社だ。
難易度
光量もCO2も肥料も必要ないので、アクアリウム初心者にもオススメの水草です。
水質が合わなくて枯れる事はほとんどないので難易度はかなり低いでしょう。
ただ、成長速度が遅い上に水が汚れていたり強すぎる光がある環境では、様々なコケに覆われてしまいます。
特に厄介なのが「黒髭コケ」で、一度発生すると駆除がとても大変です。
美しいアヌビアスナナを長期間維持するとなると定期的なお手入れが必要で、少しだけ難易度が上がるかもしれません。
アヌビアスナナが育たない・枯れる理由
よほどのことがない限り育つ水草ですが、注意しないといけない点があります。
枯れる原因は主にこの4つ。
- 通水性の悪い低床に植えている
- 水温が低すぎる
- コケを駆除するときにストレスを与えてしまった
- 株分けやトリミング時に茎を傷つけた
通水性の悪い底床に植えている
自然環境下ではなにかに活着して生活している点から、底床に直に植えられるのを嫌います。
根の通水性が悪くなって、溶けてしまうことがあります。
ただし!レイアウトを作る上で直植えがしたい方も多いと思います。
その場合、通水性の良い荒い粒状の底床を使ってください。
私は通水性の良い大き目の砂利に植えて育てたことがあります。腐ることなく普通に育ちました。
ただ底床が軽いせいか、いつの間にか浮いてることも‥。
田砂のような目の細かい砂は通水性が悪いので、絶対に植えないようにしましょう。
水温が低くすぎる
もともと西アフリカに自生している水草なので低温にはめっぽう弱いです。
だいたい20℃を下回ると活性が低くなり、10℃以下になってくると枯れてしまいます。
日本の冬は氷点下を下回る地域もあるので危険ですね。
ビオトープのような屋外で育てたい場合、冬の時期のみ暖かい部屋に避難させるかヒーターを取り付けましょう。
設定温度は20℃以下にはならなければ大丈夫です。21~26℃くらいかな?
コケを駆除するときにストレスを与えてしまった
木酢液は非常に厄介なひげ苔にとても有効な対処法ですが、水草への負担もかなり大きいです。
炭を焼くと出てくる煙を冷却することでできる液体のこと。
殺菌効果や植物の成長促進等の効果があり、無農薬栽培にも使われている。
非常に刺激が強いので葉に塗布する時は必ず希釈して行いますが、陸上の植物よりも葉が弱い(柔らかい)ので、長時間付けておくのは危険。
水草の中では硬い葉を持つアヌビアスナナですが、木酢液の使い方を間違えると枯れてしまうことがあるので注意してください。
株分けやトリミング時に茎を傷つけた
丈夫な水草なので割と適当に扱っても平気ですが、根本の太い茎部分は絶対に傷付けてはいけません。
人間で言う動脈のような部分で、傷をつけた途端に調子を崩し、株全体が溶けてしまいます。
株分けやトリミング・活着する時は、十分注意して行うようにしてください。
実は私も株分けするときに傷をつけてしまい、枯らした(溶かした)ことがあります。
爪がささくれみたいになっちゃって、アヌビアスナナに刺さったんですよね笑。
大丈夫だろうと思ったんですが、だんだん溶けてしまいました‥。
アヌビアスナナが白化する原因
初心者でも簡単に育てられる水草なので、硬度やpH等の水質が原因で白化することは殆どありません。まあゼロではありませんが‥。
栄養不足の場合も殆どないですね。肥料を要求する植物ではないので。もちろんゼロではありませんが!
そもそも白化の原因は光合成に必要なクロロフィルの不足です。
何らかの原因でクロロフィルが不足してしまって、光合成が行えなくなった状態というわけですね。
で、この原因はなにかというと‥わかりません。
水槽によってよって原因がぜんぜん違うんです。
今回紹介するのは、あくまでアヌビアスナナが白化する「代表的な原因」です。
前置きが長くなりましたが、それでは見てみましょう!
光が強すぎて葉焼けを起こしている
白化の原因のほとんどは葉焼けだと思います。
光合成には光が一番重要ですが、過剰だと葉が焼けたように変色・色抜けする場合があります。
対策としては光量を要求する水草ではないので、少し弱めてみると良いかも。
植えてある水草の関係上、光量を下げられない場合は、陰になるような場所に配置しましょう。
ちなみに葉焼けした葉はもとに戻りません。目立つ場合はトリミングしたほうが良いですね。
栄養不足が原因
アヌビアスナナは追肥しなくても問題なく育つ水草ですが、微量元素だけは水槽内では不足しがちです。
もし陰になる位置に配置しているのに白化する場合は、微量元素を与えてみてください。特に三大栄養素の次に重要な「カルシウム」「マグネシウム」「硫黄」の不足に注意。
ただし、一度に大量に追肥するのはダメですよ。
微量元素は多すぎると、水質を変化させたり生体に害を与えるモノがあります。
少しづつ様子を見ながら増やしていくのがコツですよ。
CO2はなくても育つが添加したほうが調子が良い
CO2はなくても普通に育ちますが、少しでも添加した方が成長速度は上がります。コケのリスクを減らせるし、成長速度も上がるので株分けもいっぱいできるようになります。
私の環境では、二酸化炭素を添加した途端に成長速度がグーンと上がりました。それに、葉からぷくぷくと気泡をだしたり、葉の裏に気泡を付けたりとってもキレイでしたよ!
肥料はコケの原因になるので慎重に
アヌビアスナナはあまり肥料を必要としないので、基本的に追肥の必要はありません。それどころか、栄養過多になってコケの原因になります。
特に危険なのは即効性のある液肥です。
もともと要求する肥料分が少ないので、ほとんどコケに使われてしまうんです。
ただ、植物である以上栄養は必要なので、もし足りないなと思ったら、固形タイプの肥料を使いましょう。
少しづつ栄養が溶け出すので、コケに回るのを防いでくれます。
農薬の持ち込みに注意!
アヌビアスナナは、植木鉢のようなポットに入れられて販売されています。
このポットには、土の代わりにウールが使われているのですが、これが非常に厄介で農薬が染み込んでいる場合があります。
水槽に入れるときにしっかり取り除いてあげないと、農薬を持ち込んでしまう危険があります。
ちなみに、Charmでは残留農薬の処理をしていますが「ビーシュリンプの水槽では使わないこと」とあります。
どーしても使いたい場合、「水草その前に」という農薬を処理する商品がオススメ。スネールやプラナリアの持ち込みも防げますよ!
ただ、完全に無害になるまで除去できるかは、状況によって変わると思うので自己責任で!!
テラリウム水槽の場合は乾燥に注意!
水上でも姿を変えることなく育てることができますが、陸生植物のようなしっかりとした水上葉は展開しません。
全く水気のない場所だと、カピカピに枯れてしまう場合があります。
こうなると水中に戻してもそのまま溶けてしまいます。
アヌビアスナナを水上で育てるのなら、ある程度湿度が保たれている環境を用意しましょう。
テラリウム水槽でも、湿度の管理を怠るとカピカピになってしまう場合があるので要注意!
アヌビアスナナの特徴
深い緑色で大きな葉をした草姿が特徴的な水草。
しかも 浮かせておくだけでも育ってしまうほど生命力が強いです。
その一方で成長速度がとても遅く、コケに覆われやすいです。
有茎草のようにトリミングをすれば、新芽をバンバン出すわけではないんです。
でも成長速度が遅いのはメリットでもあるんですよ。お手入れが楽になるのでレイアウトの維持がとても簡単なんです。
ちなみに稀に花を咲かせることがありますが、花を咲かせる理由や条件は解明されていません。
一説によると水質が悪くなったり、急激に水温が変わると子孫を残そうとして、花が咲くとも言われています。
どちらにせよ、まだ解明されていない謎も多い水草なんです。
そんなアヌビアスナナですが、特徴についてもっと具体的にチェックしてみましょう!!
アヌビアスナナを水槽に植えるならどのあたりが良い?
もともと背丈が低い水草なので、工夫次第では前景に使えます。
アクセントとして使うのも良いし、底床を埋め尽くすようにレイアウトするのも面白いかも。
背丈が低いので、後景に使う場合は流木に活着させて使います。
活着させると、木から生える大きな葉を表現できて、大木にたくさんのアヌビアス・ナナが「生えた」レイアウトはとっても綺麗ですよ。
光量も弱めに抑えれば、深い川の奥深くといった感じを表現できます。
葉が硬いのでテラリウムにも使えるし、水質悪化にも強いのでボトルアクアリウムにも使えますね!
アヌビアスナナでまとめられたレイアウトは、神秘的で落ち着いた雰囲気で、陽性植物でまとめられた水槽とは一味違う水槽が作れますよ!
オススメの植える場所 | |
前景 | ○△ |
中景 | ○ |
後景 | ○ |
アヌビアスナナの魅力は深緑の葉と生命力
深く大きい濃い緑色の葉は、どんなレイアウトでもさり気なく溶け込ませることができ、水槽のメインとしてもアクセントとしても活躍してくれます。
この汎用性の高さがアヌビアスナナの最大の魅力と言っても良いですね!
そして、初心者でも簡単に育てられるのも嬉しいポイント。
アクアリウム初心者の頃は、照明もCO2添加装置もないですよね。
これでは光量やCO2が必要なブリクサなんかは育てられません。
アヌビアスナナはただ浮かせておくだけでも育つほど生命力が強いので、初心者でも簡単に育てられます。
ただし成長速度が遅い水草なので、慣れてきたらCO2の添加はしたほうが良いかも。
アヌビアスナナと相性の良い魚は?
どんな魚とも相性が良いですが、特にオススメなのは水を汚しやすい金魚や砂をいじるコリドラス、クーリーローチですね。
アヌビアスナナは活着できる水草なので、汚れた底床のお掃除がとっても楽なんです。
あとは小型水槽やボトリウムで、飼育しているベタなんかも良いですね!
水質が変化しやすい小型の水槽だと気難しい水草は育てづらいですが、ちょっとくらいの水質変化ではびくともしないアヌビアスナナだと簡単に育てることができます。
後はコケ対策にエビやフネアマガイですね!
特にフネアマガイは私のイチオシ!とんでもないコケ処理能力を持っているんです。
数年前までは石巻貝が人気でしたが、最近はフネアマガイのほうが人気ですね。
アヌビアスナナと相性の良い水草は?
アヌビアスナナのようにただの葉っぱみたいな水草って、どんなレイアウトでも自然に馴染んでくれるんですよね。
なので、どんな水草とも相性が良いんです。
陰性植物だけでまとめた水槽ならミクロソリウムやアマゾンソードとか。
流木に活着させた南米ウィローモスと組み合わせれば、ジメッとした深い森の中を演出できます。
育成データ
名称 | アヌビアスナナ |
---|---|
学名 | Anubias barteri var. nana |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
カテゴリ | 中景草 |
水質 | 弱酸性〜弱アルカリ性 |
硬度 | 0〜8 |
光量 | 1灯 |
CO2 | 無しでも可 |
価格 | 1ポットで¥490〜¥780 |
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アヌビアスナナの植え方
アヌビアスナナの植え方には「活着」「植える」「浮かせる」の3つがあります。
それぞれチェックしてみましょう!
流木や石に活着させる
アヌビアスナナは流木や石などに活着させて利用します。
活着にもいろんなやり方がありますが、ここでは「糸・ビニタイで固定」「接着剤で固定」の2つを紹介します。
糸・ビニタイで固定する方法
まず、動画があるので見てみましょう。一見は百聞にしかずですよ!
根を短く切って活着させたいモノの上に置いて、外れないように糸やビニタイなどで固定するだけ。
水槽に入れた時にビニタイや糸が目立ってしまう場合は、流木に活着したのを確認できたら取り除いても大丈夫です。
もしくは溶ける糸を使うと外す必要がなくなります。
ただ‥個人的にですが、糸はあまりおすすめしません。
というのも、流木からはずれないようにキツく巻いてしまうと、茎部分を傷めてしまう場合があるんです。
細い糸って、柔らかいモノなら簡単に切断できるくらいよく切れるんですよ。
あとは、すでに伸び切った根っこは、そこから再び伸びることはありません。
葉からも栄養を多く吸収できる水草なので、バッサリカットしちゃいましょう。
接着剤で固定する方法
最近有名になった活着方法として、接着剤で固定するやり方があります。
水分をよく拭き取った後、アヌビアスナナに接着剤を付けて流木にくっつけるだけ。
水に入れると白く硬化するので、ベタベタとたくさん塗らないこと。
水槽の前面から見てあまり目立たないように上手くくっつけましょう。
アヌビアスナナが成長してくると目立たなくなるので、そこまで気にしなくても良いと思いますが…。
ちなみに脱線しますが、昔からアロンアルファなどでくっつけるやり方があったんですよ。
でもアクアリウム用品じゃないし、不安という声も多くてあまり広まりませんでした。
知る人ぞ知るやり方って感じでしたね。
最近は水草の活着・流木同士をくっつけるといった、アクアリウムで使える接着剤が売られていて人気になっていますね。
アクアリウム用なので、安全に使えるし何より楽で良いですよね!
底床に植える
底床によっては一応植えることができます。
ただし、自然界では地中に根を張ることはほとんどない点には注意してください。
植え方は、植えやすいように根っこを短く切ってから底床にねじ込むだけ。
注意点は茎部分が埋まるほど深く埋めないこと。
植えるというより、浮いてこないように底床に固定する感じですね。
あと、通水性が悪い底床を利用している場合、腐ってしまう場合があるので絶対に植えないように。
水面に浮かべる
最も簡単で手軽な方法が「浮かべておく」ですね。
アヌビアスナナを養殖している水草ファームでも、水面に浮かせておく水耕栽培(根だけを水中に入れておく)で育てられています。
注意点は葉の乾燥ですね。水面に浮かせるので大丈夫だとは思いますが‥。
ちなみに、レイアウトとしてはあまり美しくありません。笑
水草のストックとして浮かべておくのもアリということで一応紹介しておきます。
- 茎を傷つけないこと!細い糸は傷つきやすいので特に注意!
- 通水性の悪い底床には埋めないこと!
- 葉の乾燥に注意!
アヌビアスナナのトリミング・増やし方
成長が遅いので頻繁なお手入れは必要ないですが、そのうちコケが生えたり巨大化したり、いろんな問題がでてくるのでトリミングが必要です。
アヌビアスナナのトリミングには「葉のカット」とアヌビアスを増やす「株分け」の2つがあります。
それぞれチェックしておきましょう!
コケが付いている葉のカット
葉にコケが目立ってきたら、コケを駆除するかトリミングをしましょう。
トリミングの仕方は、根元の太い茎部分を傷つけないように葉の根元付近からカットします。
葉をカットするほどでない又はカットしたくない場合は、薄めた木酢液、竹酢液を塗布することでコケを除去できます。
木酢液が有効なコケは髭コケやアオミドロ、藍藻などです。
ガラス面にスポット状に生えてくるコケは、あまり効果がないので注意。
木酢液の原液はかなり強力なので必ず希釈して使います。
アヌビアス系なら3倍程度に薄めれば問題ないでしょう。
木酢液スプレーが完成したら、アヌビアスナナを水槽の外に出し噴霧します。
この後、数分ほど放置するのですが、葉が乾かないようにティッシュやキッチンペーパーでくるんでおきましょう。
水槽に戻すときは、洗わずにそのまま戻して大丈夫です。
しばらくすると、コケが赤くなって枯れます。
エビがいると食べてくれますが、居なくてもそのうち溶けて消えます。
ちなみに、アヌビアスナナは葉が硬いので薬品にも強いです。
そこで数秒程度なら希釈しない(薄めない)で直接塗布するやり方もあります。
注意点は長時間塗布したまま放置しないこと。
コケを枯らすほど強いモノなので、水草にとってはかなりの負担なんです。
ちなみに私も塗っていたのを忘れて、枯らしてしまった経験があります‥。
株を増やすなら株分け
大きく育ってきたら、株分けをすることで簡単に増やすことができます。
また、株自体がコケに覆われている場合も株ごと取り除くことで対処できます。
やり方は根元付近を手でむしるだけでOK。
注意点はハサミを使わないこと!
重要な茎部分を傷つけてしまう場合があります。
コツはむしれるポイントを手で探って、絡まった根っこをほどいていけばポロッと取れます。
最初はどこでむしれば良いのかわからないと思いますが、慣れてくれば簡単にできるようになるので実践あるのみです!
- とにかく茎を傷つけないこと!
- 木酢液・竹酢液の長時間の塗布はしないこと!
- 株分けをする場合はハサミを使わないこと!
アヌビアス・ナナの販売情報
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