インドやスリランカなど東南アジア原産の植物です。 実はアミメミミカキグサという名前で日本にも自生しています。
ウォーター(水)ローン(芝生)という名前の通り、草丈が低く前景に使われる水草です。
鮮やかな緑色のグリーンカーペットを底床一面に広げてくれますよ。
また、水草では珍しい食虫植物の仲間でもあります。
水中や地中にいるプランクトンや微生物を捕虫嚢という器官を使って栄養を得ています。
それでは、ウォーターローンの育て方について確認してみましょう!!
ウォーターローンの難易度
植えた直後は非常に不安定で、水温や水質悪化などちょっとしたことがきっかけで溶けてしまいます。難易度は高め。特に立ち上げ初期は底床の肥料分が多く、水質も悪くなりやすいので、失敗することが多いですね。
ウォーターローンはCO2の添加が必須で光量も必要です。それなりに良い環境を整えて上げる必要があります。軟水を好みますが低すぎてもNGという非常に繊細な水草です。
水質の悪化・変化に弱いので、初めは苦労するかもしれませんが、だんだん落ち着いてくると成長も速く、思わず寝っ転がりたくなるような芝生を作ってくれるはずですよ!
引っこ抜けやすい
大型のエビにツマツマされると間違いなく引っこ抜かれます。
というのも、根っこから養分を吸収する能力があまりなくて、(というか無い?)水槽内の微生物を捕食して栄養を得ているので根張りが非常に弱いんです。
対策は、ヤマトヌマエビなど、大型のエビは入れないようにしましょう。
コケ対策でエビを入れるなら、ミナミヌマエビがおすすめですよ。小型のエビなので、引っこ抜ける確率が下がります。
ちなみに、ウォーターローンのトリミングをする時も注意が必要ですよ。
ランナーでつながっているので、1つの株が引っこ抜けると全部が浮きます。笑
水上化するが成長は遅め
水中だけでなく、一応水上でも育成できるみたいです。
根っこみたいなのに捕虫嚢(捕食袋)がついていて、地中にいる微生物を捕食します。
ただ、水上化できると言っても、水中のほうが調子が良いらしいです。
余ったウォーターローンをストックするのも水中がおすすめですよ。
葉が柔らかく食害に合う
ウォーターローンは葉っぱが柔らかく、ヤマトヌマエビなど大型のエビにとっては絶好のおやつで、大型のエビや草食性の強い魚を入れていると食害に合うことがあります。
対策は、小型のエビを使うことと、草食性が低い魚を使うこと。
ちなみに、調子を崩したウォーターローンだと小型のエビでも食べてしまいます。ただ、どのみち溶ける運命にあるので、調子を崩さないような環境を作るのが先決ですよ。
食虫植物だが光合成は必要
土壌の栄養が少ない不毛な土地でも生活できるように進化した食虫植物ですが光合成は必要です。
捕虫はあくまでも光合成の補助にすぎません。
少ない栄養でも得られる養分は貪欲に吸収し、足りない分は捕食して栄養を得ています。進化ってすごいですよね‥。
ちなみに、ウォーターローンの捕虫器官は、袋わな式というかなり複雑な構造をしています。
捕虫嚢は普段は閉じているのですが、蓋がパカッと開くと水圧の力で一気に捕虫嚢へ水が流れ込みます。
そして、袋内の水を排出して「四叉毛」という器官を使って消化吸収をしています。
ちっちゃな袋がこんなにも複雑な構造をしているなんて驚きですよね。
栄養が少ない(貧栄養)環境を好む
ウォーターローンは、動物性のプランクトンや微生物から栄養補給しています。
土壌の栄養を吸収できる根っこをほとんど持っていないため、底床内に栄養があってもあまり意味が有りません。
逆に養分が多いと調子を崩すことが多く、最悪の場合溶けてしまうことも。貧栄養の環境が好きなので、栄養が少ないソイルを使いましょう。
あとは底床の掃除も有りかな・・?
底床って、きれいに見えても熱帯魚のフンとか枯れ葉などで意外に汚れているんですよね。
ただし、ソイルって土を固めただけなので、プロホースとかで吸い上げると崩れやすいです。ただの泥になっちゃうので、掃除をしない方も多いんですよね。
崩れたソイルは、色々とイイことがないので、あまりいじりたくないんです。
私も全く掃除しないわけではないですが、あまりしません。
ウォーターローンの場合も、引っこ抜ける原因になるし、無理に掃除する必要もないのかな‥。
立ち上げ初期はバクテリアが繁殖していないので栄養不足になりやすい
立ち上げ初期はバクテリアが少ないので、捕食ができず栄養不足になりやすいです。
水質も安定しないので、より不調になりやすいですね。
バクテリアがしっかり繁殖した水槽に植えるのがおすすめですよ。
あと、液肥は吸収できるので、少量だけ添加するのもアリですね。
ウォーターローンが育たない・枯れる
難易度が高めのウォーターローンですが、特に注意してほしい点があります。
- CO2・光量不足に注意
- コケに覆われて枯れる
- 水質が悪化(富栄養化)していると溶ける
- 高すぎる水温に注意!
ウォーターローンが育たない・枯れてしまう原因についてチェックしておきましょう!
CO2・光量不足に注意
ウォーターローンはCO2が必須です。必ず添加しましょう。
CO2は植物の細胞を作るのに欠かせないデンプンの材料で、CO2が少ないと成長が遅くなり、調子を崩す原因になります。
CO2を添加していても育ちが悪い場合は光量不足を疑います。
空気中では照明の光が強く見えても、水の中では不純物等で相当減衰されます。水槽の底に到達する頃には50%以上も光が失われているんです。
特に前景草は背丈がないので、想像している以上に光が届いていません。
もし、光量が弱い照明を使っているなら見直してみましょう。
コケに覆われて枯れる
高光量を当てているとどうしてもコケてしまします。
幸いにもウォーターローンはそれほど栄養を必要としないため、アマゾニアなど肥沃なソイルは必要ありません。逆に、コケの原因になるので栄養系ソイルは使わないほうが良いかも。
アマゾニアは初期段階で大量の栄養分を放出します。ウォーターローンに限らず、どんな水草でもコケます。栄養系の 新品ソイルでありがちなトラブルを避けるためにも、初期の換水は多めに実施するのが鉄則です。
水質が悪化(富栄養化)していると溶ける
自然界では栄養が少ない環境で自生しているため水質が悪い環境が大の苦手です。
特に立ち上げ初期は水質が不安定になりやすいので注意が必要です。
対策は、水質が悪くならないようにすること。定期的な水換えは当然として、入れる熱帯魚も少なめの方が良いかも。
また、根っこがほとんどないため、底床に埋める固形肥料との相性は悪いです。
栄養不足の症状が見られるのなら液肥がおすすめです。
高すぎる水温に注意!
高すぎる水温が大の苦手です。窓際に水槽を置いている場合は特に注意が必要です。太陽の光などで、水が高温になりやすいんです。
夏場だけはファンを使うなどしっかり対策しましょう。
ちなみに私は逆サーモスタットを使ってファンの電源をコントロールしています。
サーモスタットの逆の役割がある装置で、水温が高くなると電源がONになる。
逆サーモとファンを組み合わせることで、水温が高くなったらファンを起動といった制御が可能になる。
また、夏場にミスト式で立ち上げる場合も注意が必要です。
密閉された水槽内は、照明の光だけでも温度が高くなりやすく失敗の原因になります。
高温が苦手なウォーターローンにとっては、サウナに入っているのと同じ状態というわけですね。
対策は、定期的に換気することと、涼しいところで立ち上げることです。
あとは、隙間を開けて熱の逃げ道を作るのもアリ。
ウォーターローンの特徴
葉の長さは3~5㎝程度でテープ状の形をしています。
食虫植物なので捕虫嚢(ほちゅうのう)という微生物を捕食するため器官を持っているのが最大の特徴ですね。
葉の色はライトグリーンで草丈は短いので、絨毯レイアウトにぴったりですよ。
そんなウォーターローンですが、特徴についてもっと具体的にチェックしてみましょう!!
ウォーターローンを水槽に植えるならどのあたりが良い?
小型の水草なので、中景~後景は無理ですね。ただ、大きな水草を植える予定がないなら後景でもイケます。
前景はもちろんOK!美しい芝生を作ってくれるはずですよ!
強い光量を求めるので、なるべく影にならない位置にレイアウトしましょう。
ちなみに、絨毯レイアウトって、ちょっと平面的になりがちですよね。
そこで、かんたんなテクニックとして、水槽の後ろに行くに従ってソイルを高く盛ることで、奥行き感を出す事ができます。
あとは、あえて凸凹にソイルを盛ることで、、丘っぽい感じを演出できます。
また、ウォーターローンは根張が非常に悪いので、ソイルを高く盛っても崩れやすいです。
石を使って、ソイルが流れるのをせき止めてあげましょう。
オススメの植える場所 | |
---|---|
前景 | ○ |
中景 | × |
後景 | × |
ウォーターローンの魅力はふさふさの緑の絨毯が作れること!
一面に広がったウォーターローンは、やさしく撫でたくなるほど気持ちよさそうですよね。
ウォーターローンの上でツマツマしているエビが羨ましいッ!!
シンプルな石組みレイアウトはそれだけで絵画のような美しさです。レイアウトが苦手な方でもかんたんに美しい水景が作れるのは魅力的ですね!
あと、食虫植物なので、小さな捕食袋(捕虫嚢)を持っています。これを使って、ヒドラとかミジンコなんかを捕食します。
ヒドラは稚エビを捕食するので、エビの繁殖をしたい方には嬉しい魅力です!
ウォーターローンと相性の良い魚は?
小型の魚との相性は良いですね。フンの量も少なく管理も楽です。
例えば、グリーンネオンテトラとかラスボラ・エスペイとかですね。
中でも、ラスボラ・エスペイみたいな体色が膨張色の魚は、2~3匹でもそれなりに存在感あるので相性が良いですね!
逆に草食性が強い魚とは相性が悪いです。
レモンチップテトラやブラックテトラは、草食性が強い魚でも有名で、柔らかい水草は絶好のおやつになります。
ちなみに、底床を荒らす魚は問題外。相性最悪ですよ。
ウォーターローンは根張りが弱いため、クーリーローチやコリドラスがいると掘り返される場合があります。
ウォーターローンと相性の良い水草は?
根からあまり栄養を吸収しない水草と相性が良いです。
例えば、アヌビアスナナとかの活着系とか。
でもウォーターローンに最適なレイアウトといったら、やっぱり絨毯ではないでしょうか!!
底床一面に広がる芝生は本当に美しいですよ!
逆に相性が悪い水草は根張りが良くて、肥料を多く要求する水草ですね。
ウォーターローンは固形肥料との相性が悪く溶ける原因になるので、基本的に固形肥料は使えません。根張が強いグロッソやショートヘアーグラスは相性最悪ですよ。
後景草とかは、周りにだけ肥料を差し込めば問題ないので大丈夫です。
育成データ
名称 | ウォーターローン |
---|---|
学名 | Utricularia Graminifolia |
難易度 | ★★★★☆ |
カテゴリ | 前景草 |
水質 | 弱酸性~中性 |
硬度 | 軟水~中硬水 |
光量 | 20W3灯以上 |
CO2添加 | 60㎝1秒1滴 |
価格 | 約1,000円 |
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ウォーターローンの植え方
ウォーターローンは主にカップやポットが多く流通しています。培養カップタイプは、カップの底に寒天のようなゼリーが付いているので、植える前に落としましょう。
ウォーターローンの植え方には、普通に植栽する方法と、ミスト式で立ち上げる方法の二つがあります。
普通に植える方法
水草の下処理を丁寧に行なったら、優しく小指の先~1円玉程度の大きさに小分けにします。
株が小さすぎると、浮きやすいので、あまり小さくしすぎないようにしましょう。何本かまとめて植えるのがコツです。
ピンセットでウォーターローンの先を優しくつまみ、葉がちょっと顔を出すくらいの深さで植えます。植え込みが浅いとすぐに抜けてしまうので、思い切って深く植えこんで大丈夫です。
また、 あまり間隔を開けすぎるとキレイに育たないみたいです。だいたい1cm弱くらいの間隔で植えると良いかも。
ミスト式で植える方法
まず最初にウォーターローンのミスト式は少し難しいです。どうしても溶けてしまう事が多いんですよね。
ただ、ミスト式のメリットもあって、立ち上げ初期の引っこ抜けを防ぐことができます。
やり方は、ソイルをしっかりと湿らせ普通通り植栽します。
植え終わったら霧吹きなどで水たまりができるぐらいたっぷりと水を与えます。
このままだと水分が蒸発してしまうので、ラップなどで密閉します。ウォーターローンは高温に弱いので、空気の通り道として何箇所かに穴を空けると良いかも。
次に毎日の換気と蒸発したあ水分の補充を行ないます。
少しづつ新芽が出てきて、育ってきたら注水して完成です。
- エビに抜根される!
- 多めに植える!
- 細かくしすぎない!ある程度まとめて植える。
- 高すぎる温度に注意!
ウォーターローンのトリミングと増やし方
ウォーターローンのトリミングは芝を刈るようにカットするだけでOK。増やし方は、ランナーで繋がった株を分離します。
地中の表面付近を走る茎のこと。株から伸びていて、ランナーの節目から新しい株が作られる。
ランナーでつながった株同士は、お互いに栄養を分け合う事ができる。
匍匐茎(ほふくけい)ともいわれる。
増え過ぎたらトリミング
ウォーターローンは根張が非常に弱いので、葉をたくさん出しすぎると葉の浮力に負けて浮いてくる場合があります。ランナーでつながっている株全部が浮いてくるので放置していると大惨事になりますよ。笑
ちょっと増え過ぎかなと感じたらトリミングを実施しましょう。
芝を刈るように伸びた葉をザクザクとカットします。ウォーターローンはトリミングに強く、深めにカットしても問題有りません。しばらくすると新芽が生えてきます。
注意点は、根張りが弱いのでトリミングの衝撃で引っこ抜けてしまう場合があること。
優しく慎重にトリミングしましょう。
ざっくり深めにトリミングしたほうが良いのですが、引っこ抜けやすいので注意しましょう。
水中に捕虫嚢が伸びてきたらカット
基本的に底床内に捕虫嚢を伸ばしますが、地中にプランクトンが少ないと水中に伸びてきます。
ひょろひょろ~と伸ばしてみっともないのでカットしてOKです。
水槽によっては、結構な頻度で伸びてくるので、都度トリミングしましょう。
もちろん、放置でも問題有りませんよ。何本も伸ばしていると、意外とキレイなんですよね。笑
- トリミングの衝撃で引っこ抜ける場合があるので注意!
- 底床のすぐ真上付近でカットする。
- 水中に伸びてきた捕虫嚢はカットしても良い
ランナーをカットして株を増やす
ウォーターローンは、ランナーを伸ばして、底床にへばりつくように広がっていきます。株分けをする時は、ランナーをカットして株を分離します。
ボリュームが足りない場所で、ハサミを垂直に刺しランナーを切り分けます。
基本的にこれだけでOKです。裁断されたランナーは株同士の切り口から新しい株が生えてきます。2倍に増えるわけですね。
子株と親株を分離して、引っこ抜いてからもう一度植えるのもアリですが、植栽直後は浮きやすいので底床内で分離するだけのほうが良いです。
カットされたランナーは、また勝手に伸ばし始めるのでどんどん増やすことができますよ。
- ボリュームがほしい部分のランナーをカットする
- 色々と面倒くさいので引っこ抜かないこと!
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